どうして駐輪場の防犯対策が大切なのか?
自転車の盗難件数は、平成25年をピークに減少傾向にありましたが、令和4年から再び増加傾向にあります。
その数、年間約16万件(警察庁犯罪統計資料より)です。
特に駅前や住宅地の駐輪場での被害が多く、「自分の自転車は大丈夫だろうか?」と心配される方も多いのではないでしょうか。
昔と違って、今は電動自転車やスポーツバイクなど、10万円以上する高価な自転車を使う人がたくさんいます。そんな大切な自転車が盗まれてしまったら大変ですよね。
マンションの場合、住民の方の自転車が盗まれると、「なぜ防犯対策をしてくれなかったの?」と管理組合にクレームが来ることがあります。
お店の場合、お客さんの自転車が盗まれると、「あのお店は無責任だ」という悪い評判が広まってしまいます。
市役所などの場合、公共の駐輪場で盗難が起きると、「この地域は治安が悪い」と思われてしまいます。

つまり、駐輪場の防犯対策は、みんなの安心と施設の信頼を守るためにもとても重要なんです。
あなたの駐輪場は大丈夫?簡単チェック
まずは今の駐輪場がどのくらい危険かを確認してみましょう。
下のチェックリストに当てはまるものがあるかどうか見てください。
- □ 誰でも自由に入れる(柵やゲートがない)
- □ 夜になると暗い
- □ 防犯カメラがない
- □ 自転車を止める専用の台がない
- □ 管理する人がいない
- □ 長い間放置された自転車がある
- □ 外から見えにくい場所がある
- □ 誰が使っているかわからない
あなたの駐輪場の危険度は?
0〜2個:安全レベル 今のところ大きな問題はありませんが、もう少し対策をすると更に安心です。
3〜5個:注意レベル 盗難が起きやすい状況です。早めに対策することをおすすめします。
6個以上:危険レベル とても危険な状態です。すぐに総合的な対策を検討しましょう。
予算別 自分たちでできる。駐輪場セキュリティ対策
実際の予算に合わせて、効果的な対策を3段階に分けてご紹介します。
まずは0円でできることから始めて、必要に応じて段階的にレベルアップしていきましょう。
防犯カメラなど防犯グッズの購入は、専門業者を通さなくても、Amazonなどネット通販で安価なものを購入することができます。
【予算0円】今すぐできる基本対策
定期的な見回りと整理整頓
効果: 「管理されている」と思わせる
- 放置自転車には「○月○日に撤去します」の札を貼り、定期的に業者に引き渡す
- ゴミや落ち葉を取り除いて清潔に保つ
利用ルールの掲示
効果: 不正利用の抑制と責任の明確化
- 「防犯カメラ作動中」の看板設置
- 利用時間や禁止事項を大きく表示
- 費用: 看板代3,000円〜5,000円程度
照明の改善(既存設備の活用)
効果: 暗がりをなくして犯罪を抑制
やり方:
- 既存の街灯や建物の照明を活用
- 植栽の剪定で明るさを確保
- 費用: 基本的に0円
【予算1〜10万円】コストパフォーマンス重視の対策
ダミーカメラと本物カメラの組み合わせ
効果: 低コストで心理的抑制効果
やり方:
- 本物のカメラ1台(2〜3万円)を目立つ場所に設置
- ダミーカメラ2〜3台(1台2,000円程度)で死角をカバー
- 「防犯カメラ作動中」のステッカーも併用
- 総費用: 5〜8万円程度
人感センサー付きLED照明
効果: 電気代を抑えながら防犯効果アップ
やり方:
- ソーラー式人感センサーライト(1台3,000〜5,000円)
- 2〜3台設置で駐輪場全体をカバー
- 工事不要で簡単取り付け
- 総費用: 1〜2万円程度
簡易チェーンゲート
効果: 不正侵入の抑制
やり方:
- 入口にチェーンと南京錠を設置
- 利用者には鍵を配布または共通番号の暗証錠
- 設置工事は基本的に不要
- 総費用: 5,000円〜1万円程度(鍵の配布費用は利用者数に応じて別途必要)
【予算10〜50万円】本格的だが現実的な対策
防犯カメラシステム
効果: 確実な抑制効果と証拠保全
内容:
- 防犯カメラ2〜4台設置
- レコーダーと1ヶ月分の記録保存
- 夜間撮影対応
- 総費用: 20〜35万円程度
段階的な導入プラン
第1段階(導入費用:0〜3万円)
- 見回り体制の確立
- 看板・ステッカーの設置
- 照明環境の改善



まずは、基本的な防犯環境をつくりましょう。
第2段階(追加費用:5〜10万円)
- ダミーカメラと本物カメラ1台の設置
- 人感センサーライトの追加



少し費用をかけると抑制効果が大幅にあがります。
第3段階(追加費用:10〜50万円)
- 不審な行動を探知するAI防犯カメラを複数台導入



予算に余裕があればおすすめの対策です。
低予算の駐輪場防犯対策モデルケース
事例1:中小マンション(50世帯・予算15万円)
困っていたこと
- 住民の自転車盗難が発生
- 管理費を抑えたいが対策は必要
どんな対策をしたか
- 本物カメラ1台とダミー2台(7万円)
- ソーラー人感ライト3台(1.5万円)
- チェーンゲートと看板(1万円)
- 見回り強化
対策後
- 盗難・いたずら件数の大幅な減少
- 住民満足度が向上
- 管理費の負担増はも月額数百円程度
事例2:個人商店(予算8万円)
困っていたこと
- お客さん用駐輪場の治安が心配
- 売上が厳しく大きな投資はできない
どんな対策をしたか
- ダミーカメラ3台と「録画中」ステッカー(1万円)
- ソーラーライト2台(1万円)
- 簡易サイクルラック5台(3万円)
- 毎日の清掃強化(0円)
- 防犯協力の看板設置(3,000円)
対策後
- 無断駐輪が大幅減少
- お客さんから「安心して買い物できる」と好評
- 近隣商店からも参考にしたいと相談
まとめ
駐輪場の安全対策は、必ずしも高額な投資が必要なわけではありません。
大切なのは「管理されている」「見られている」という雰囲気を作ることです。
0円でできることから始めて、効果を確認しながら段階的に設備を追加していけば、限られた予算でも十分に安全な駐輪場を作ることができます。
まずは現状を把握して、できることから始めることが大切です。